わさんみつのお話

旅の記録を中心に、様々な情報を書き綴っていきます。

【始発⇒終電】関東7都県を140円で一周、「大回り乗車」に挑戦してきた。 ⑤「夕焼」

この記事はシリーズものになります。是非①からお読みください。

①⇒https://www.wasanmitsu.com/entry/2019/07/20/200000

②⇒https://www.wasanmitsu.com/entry/2019/07/21/200000

③⇒https://www.wasanmitsu.com/entry/2019/07/22/200000 

④⇒https://www.wasanmitsu.com/entry/2019/07/23/200000

 

17:14 佐倉駅(千葉県)

f:id:tatatamacenter:20190722064009j:plain

 

佐倉駅のホームには屋根がありました。なんだか安心します。

f:id:tatatamacenter:20190722063853j:plain

 

数時間ぶりのジェフ千葉要素もありました。低迷しているとはいえ千葉県内での影響力はまだまだ大きいようです。

 

ここから成田線で成田駅、我孫子駅を経由し茨城県へ向かいます。北関東がじわりじわりと迫ってきています。

 

15:17発 成田線快速 成田空港行

f:id:tatatamacenter:20190722064041j:plain

 

成田空港に向かう電車だけあり、今日初めて外国人を目撃しました。ようやく私が知っている「大都市近郊」に戻ってきた感があります。

 

ここでも特筆するほどのことはなかったのですが、女性自身を一生懸命読んでいるおばさんがいました。たまに電車で夕刊フジとか日刊ゲンダイとか読んでる人を見かけますが、あの人たちってなんなんでしょうか。同じぐらいの値段なら、大手新聞社か、あるいはスポーツ新聞でも読んだ方がよっぽど情報も正確だし、内容も厚いと思うのですが。私が勝手に「世界の七不思議」と呼んでいる物事の一つです。

 

15:30 成田駅(千葉県)

f:id:tatatamacenter:20190723194249j:plain

 

成田では少し時間に余裕があるので、今のうちにトイレタイムを済ませておきます。出せる時に出さないと。

 

ついでに、どこで買ったのか忘れたオロナミンCも飲んでおきます。飲める時に飲まないと。

 

成田駅は、当然ですがスーツケースを持った乗客が多いです。皆さんきっと様々な旅から帰ってきた、あるいはこれから旅に向かうところなのでしょう。私も一応旅路の途中ということで、なんだか親近感が湧いてきます。多分あっちは全く沸いてないのでしょうが。

 

15:45発 成田線 我孫子行

f:id:tatatamacenter:20190722064345j:plain

 

成田駅の次の駅は下総松崎(しもうさまんざき)という名前の駅でした。なんだその名前。読めるわけねーだろ。

 

気づいたら向かい側の出張帰りのサラリーマンのような人が、慌てた様子で電話をしていました。車内はそこまで混んでいないので迷惑にはなりません。ただ車内で電話をするというのは、周りの目が気になっちゃう系男子の私にはハードルが高い行為です。

 

それにしても電車の乗客というのは、皆思い思いの過ごし方をします。電話をしている人もいれば、寝てる人、スマホをいじってる人。おしゃべりしてる人に勉強してる人、ぼーっとしてる人、私のようにせっせと周囲を観察してはメモを取っている人もいます。

 

車内で何をしていようと、あるいはどんな目的で、誰とどこに向かっていようと、普段どんな仕事をして、どんな背景を持っていようと、電車に乗っている限りは、一人の乗客でしかなくなります。あらゆるカテゴリーの、あらゆる人々を平等に乗客として受け止める包容力が、電車にはあります。だから、電車は少し安心します。

 

そんなことを思っていると、下総松崎駅の次に安食(あじき)という名の駅に停まりました。だからなんなんだその名前。読めるわけねーだろって。

 

この成田線、終点が我孫子(あびこ)なのもさることながら、しょっぱなから下総松崎(しもうさまんざき)、安食(あじき)と難読駅名のオンパレードです。これはきっと次の駅も相当変な名前が来るのでしょう。どんな駅名が来るのか楽しみです。次の駅名が読み上げられた瞬間に全力でツッコミをいれてやろう。わくわく。

 

 

 

 

 

 

「次は、小林(こばやし)」

 

 

「小林(こばやし)」

 

 

 

いや、急に普通かて。

 

左前に座っている紫色のシャツに黒のロングスカートのメガネ女子がかわゆくてちょっとテンションあがってると、いつの間にか我孫子駅に着いていました。

 

16:28 我孫子駅(千葉県)

 

我孫子駅に着くと、対面するホームに常磐線快速勝田行きが、成田線から降りてきた乗客を迎え入れ次第発車しようと待機しています。向かう方向としては一緒なので、直感で飛び乗ります。

 

後で調べて分かったことですが、結局友部駅で乗る水戸線の電車は変わらないようです。ただ、乗り換えが不安に思われた友部駅では、時間の余裕を持つことが出来そうです。

 

16:28発 常磐線 勝田行

 

車内はそこそこ混んでいて、座れるところがありません。ただ、座ったら今すぐ眠りに落ちていよいよこの旅路を終わらせてしまいそうなので、むしろ好都合です。ここから先は電車の込み具合に関わらず立ち乗車を決めようと思います。

 

そういえば成田線の東我孫子駅あたりで、サンダルに短パンTシャツ、茶髪パーマに首によくわからんケーブルみたいなのを巻いて、Macbookを片手に携えた典型的ビジネス系チャラ男って感じのお兄ちゃんが隣に座ってきました。「なんでサラリーマンなんてやってるの?俺こんだけ遊んでて年収800万だぜ?」とか言い出しそうなMacbookアニキですが、そんなことよりあの首に巻いてあるケーブルみたいなのって、確か肩こりに聞く磁気なるものを発しているとかいうやつですよね。噂に聞いたことはありますが、本当に効果あるんでしょうか。

 

そもそも磁気がなんなのかよくわかりませんが、あれを首に着けてるだけで肩こりが治るとはにわかには信じられません。Yahoo!知恵袋先生で調べてみたところ、同じようなことを思っている人がいたらしく、こんな回答がベストアンサーになっていました。

 

「何でも効くと思えば効きますし、

 

効かないと思えば効きません。

 

金本や新井に、聞いてみてください。」

 

なんてスマートな回答でしょうか。これぞベストアンサーです。

 

そんなどうでもいい調べ事をしていたら、ついに、約10時間ぶりに、県境を越える瞬間を迎えました。

 

f:id:tatatamacenter:20190722065203j:plain

 

藤代駅をもって、いよいよ茨城県に突入です。あまりに長かった千葉県に別れを告げ、ここから北関東3県を制覇していきます。

 

土浦駅で、にぎやかな女子高生二人組が乗り込んできました。二人は乗り込むやいなや、長身短髪外国人というスペックにもかかわらずどこか顔にエネルギーがないボーイと、必死にスマホを見ている水色のTシャツを着た恰幅な体型のおじさんの間に空いた二つの席を巡って熱い譲り合いを開始します。

 

「座っていいよ~」

 

「いいよいいよ、座りなよ~」

 

「いいっていいって、うち優しいから」

 

ボーイとおじさんの間に座りたくないという気持ちを分かりやすく表現しながら席を譲り合う二人。不毛な争いであることにわりと早々と気づいたようで、大人しく立っていることで合意しました。そのやりとりをボーイとおじさんはどのように聞いていたのでしょうか。その心情に思いを巡らすと、心が痛みます。

 

土浦の次の神立という駅で他の席の乗客が降り、おばあちゃんと壁の間に二人分のスペースが生まれると、女子高生二人組は、「座ろう」という会話すらせずに自然とそのスペースに収まりました。恰幅なおじさんは微動だにすることなくスマホに目を凝らします。車内には様々な人間模様があるんですね。

 

車窓から景色を眺めていると、恋瀬川という素敵な名前の川がありました。私も誰かのひもになりたいと思いました。

 

17:39 友部駅(茨城県)

f:id:tatatamacenter:20190722065254j:plain

 

友部駅に着くと、例の短髪ボーイが席を立ちドアの前に立ったので、私も彼に続き後ろに並びます。ただボーイは、押しボタン式というシステムを知らなかったらしく、他のドアで乗客がボタンを押しドアが開くのを見るやいなや、全身に電流が流れたかのような驚いたリアクションを取っていました。

 

次の電車まではしばらく時間があります。少し友部駅をうろうろしてみます。

 

f:id:tatatamacenter:20190722065324j:plain

改札階にあがると、なにやら短冊がたくさんあります。そうかもうすぐ七夕か。七夕などというしゃれた文化とは無縁の生活を送っているので、すっかり忘れていました。

 

f:id:tatatamacenter:20190723194443j:plain

 

なーに浮かれたこと言ってんだよ。幸せになれよ。

 

自分の心が満たされていると、人の幸せにも寛容になれます。かっこつけたセリフを心の中でつぶやいて、なぜか一人で自惚れます。

 

アンケートも設置してあったので、一言だけ。

f:id:tatatamacenter:20190722065559j:plain

 

柄にもなくお手本のようなコメントを書き残してしまいました。友部駅はなんだかいい気分にさせてくれました。この先も頑張ろう。

 

17:54発 水戸線 小山行き

f:id:tatatamacenter:20190722065357j:plain

ここから西に向かって水戸線、両毛線と乗り継ぎ、小山駅(栃木県)高崎駅(群馬県)と経由していきます。ここからの2路線もなかなかの長丁場です。加えて、小山駅では先述の「小山ダッシュ(早歩き)」も決めなければなりません。気合いを入れていきます。 

 

車内を見渡してみると、なんとあの、さきほどの車内で一緒だった例のボーイがいるではありませんか。チェックの短パンに紫のシャツ、そして大きめの緑のリュックを背負ったボーイは、さも当然のように近くの座席に鎮座し、外の景色を眺めています。もしかして同業者でしょうか?いや、そうだ。そうに違いない。

 

京浜・東北線以来2人目の同業者との出会いに喜んでいると、外から太陽の日差しが射し込んできました。

 

f:id:tatatamacenter:20190722070127j:plain
 

一日中空を覆っていた厚い雲が少しずつ遠ざかり、本日初めて、空が晴れ間を覗かせてくれました。太陽の光というのはどうしてこうも美しいのでしょうか。ここぞとばかりに写真を撮りまくります。

 

f:id:tatatamacenter:20190722070350j:plain

f:id:tatatamacenter:20190722070430j:plain

 

天気って、不思議だ。ただの晴れ模様に、こんなにも気持ちを動かされてしまう。(映画『天気の子』より)

 

太陽をじっと眺めていると、太陽が「あともう少し、頑張れ」と語りかけてくるような気がします。頑張らなきゃ。なあボーイ。

 

 

新治駅にて、「新治駅を守る会」なる看板が立てられていました。こんな小さな駅にも、その駅を使い、愛し、存続が危ぶまれる際には立ち上がる人たちがいるのですね。駅の持つ力を感じさせられます。

f:id:tatatamacenter:20190722070620j:plain

 

大和駅というところで、ついに本当に何も無い駅にたどり着きました。繰り返しになりますが、今私は「大都市近郊」の大回り乗車をしているはずです。「大都市近郊」という言葉の定義が揺らぎます。というかなんでこんなところに駅を立てたのでしょうか。

 

f:id:tatatamacenter:20190722070703j:plain

大和駅に停車中の車内から

 

例のボーイは、新治駅を過ぎても、大和駅、下舘駅を過ぎてもまだ乗っています。いよいよ本当に同業者な気がしてきました。

 

しかし、残念ながらこれ以上ボーイの様子を伺っている暇はありません。なぜなら、運命の「小山ダッシュ(早歩き)」に挑む時が、刻一刻と迫っているからです。そう、今日一日の命運を分ける小山駅の5分間。繰り返し小山駅構内の地図を確認し、進むべきルートを頭に叩き込みます。

 

改めて「小山ダッシュ(早歩き)」の概要を確認しておきましょう。今乗っている電車が小山駅15番線ホームに到着するのが18:56。両毛線普通高崎行が8番線を発車するのが19:01。小山駅の両端、その間およそ数百メートルを擁する両ホームの間を、全力ダッシュ(早歩き)で移動し乗り換えを成功させるというものです。これが成功すれば、最終目的地相原駅まで帰ることが出来る、しかし失敗すれば、相原駅への到達は絶望的になります。この5分間に、今回の「大回り乗車」の成否が懸っています。

 

水戸線の車掌は、小山駅での両毛線の接続電車をやはり19:31発とアナウンスしています。そのアナウンスを聞きほくそ笑む私。車掌さんよ、申し訳ないがその電車には乗らないんだ。

 

例のボーイは、ついに小山駅まで乗ってきました。彼が本当に同業者だったのかどうかは分かりませんが、これほど同じ電車、同じ車両に乗っていると少し親近感が沸いてきます。さようならボーイ。達者でな。

 

 

 

小山駅に滑り込む電車。次第に速度を緩め、そして完全に止まりました。いよいよ、ドアが開きます。

 

 

⑥へと続く⇒https://www.wasanmitsu.com/entry/2019/07/25/200000