わさんみつのお話

旅の記録を中心に、様々な情報を書き綴っていきます。

【見てない方も】映画『ジョーカー』公開まであと3ヶ月。今のうちに、名作『ダークナイト』を振り返ろう。

こんにちは、わさんみつです。


アメコミヒーロー、バットマンシリーズの作品でありながら、圧倒的な完成度と異色のテイストで空前の大絶賛を受けた名作『ダークナイト』。
その『ダークナイト』で一際存在感を放った伝説のキャラクターと言えば、1度『ダークナイト』を見たことのある方なら揃って一人の男の顔を思い浮かべることでしょう。


そう、ジョーカーです。

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『ダークナイト』のワンシーン



故ヒース・レジャーが文字通り命を削って演じきり、「今世紀最大の悪役」とまで呼ばれた伝説の悪役、ジョーカー。『ダークナイト』の衝撃からおよそ11年の時を経て、今年の10月、そのジョーカーの半生を描いた新作『ジョーカー』が全世界同時公開されます。あの男に、あの狂気に再び会える。今から公開を待ちわびているというファンの方も多いのではないでしょうか。かく言う私もその一人です。

『ジョーカー』公開まで残り3か月。このタイミングで、今一度名作『ダークナイト』を、共に振り返ろうではありませんか。









「いや、誰やねんジョーカーって。」

「すまん俺『ダークナイト』見てねんだわ。」

「ババ抜きのあれ?」

「しょっぱなから置いてきぼりにされたわ、読むのやめよ。」

「ばか、あほ、うんぴっぴ」


と思っているそこのあなたさんよ。
安心してください。このブログは、『ダークナイト』の視聴の有無やその回数、性別や人種、肌の色等によって、読者を差別することは決してありません。


今回は、『ダークナイト』を「まだ見て無い!」という方にも、『ダークナイト』という映画、そして伝説の悪役ジョーカーに少しでも興味を持って頂けるよう、加えて興味を持って下さった方がこのブログを読んでから映画を見ても十分楽しめるよう、ネタバレは最小限に留め、細心の注意を払って執筆しました。どうか安心してご一読願いたいと存じます。

私の大好きな映画『ダークナイト』の魅力が一人でも多くの人に伝わることを願って。


それではどうぞ。


映画『ダークナイト』とは

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作品概要

制作国:アメリカ合衆国
公開年:2008年
上映時間:152分
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベイル/ヒース・レジャー/アーロン・エッカート/マギー・ジレンホール/マイケル・ケイン/ゲイリー・オールドマン/モーガン・フリーマンなど


監督は、『メメント』や『インセプション』、『インターステラー』などなど、現在ハリウッドで最も外れがないと私が勝手に思っている、名監督クリストファー・ノーラン。

今作は、ノーラン監督がメガホンを撮ったバットマン新三部作の2作品目に当たる作品です。

シリーズ2作目、というと「1作目から見なきゃいけないのでは・・?」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。本作は、単体としても十分に(というか全く問題なく)楽しむことのできる作品になっています。

ただ、前作を見てあとで理解できる部分も多少はあります。ですので、『ダークナイト』を見た上で、「なんこれめちゃくちゃおもしれーじゃん」ってなった方は、前作『バットマンビギンズ』そして3作品目に当たる『ダークナイトライジング』もご覧になってはいかがでしょうか。

またキャスト陣も、主演のクリスチャン・ベイルを始めとして、後述するヒース・レジャーやゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマンといった往年の名優が脇を固めています。



あらすじ

悪のはびこるゴッサム・シティーを舞台に、ジム警部補(ゲイリー・オールドマン)やハービー・デント地方検事(アーロン・エッカート)の協力のもと、バットマン(クリスチャン・ベイル)は街で起こる犯罪撲滅の成果を上げつつあった。だが、ジョーカーと名乗る謎の犯罪者の台頭により、街は再び混乱と狂気に包まれていく。最強の敵を前に、バットマンはあらゆるハイテク技術を駆使しながら、信じるものすべてと戦わざるを得なくなっていく。

出典 
解説・あらすじ - ダークナイト - 作品 - Yahoo!映画


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映画『ダークナイト』の魅力


1.ヒーローものとは思えない、暗くシリアスな展開

皆さん、アメコミヒーローと聞いた時、どんな姿を想像しますか?

颯爽と現れてはそのパワーと必殺技で悪を圧倒する。強力な敵に多少圧倒されることはあっても、最終的には正義を貫き悪を撃破し、ヒロインを救出する。

そのようなかっこいい爽快なヒーローの姿を期待されてこの作品を見た方は、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。

というのも、本作におけるバットマンは終始ジョーカーに翻弄され、その正義と立場を揺るがされ、その背中には終始悲哀が漂っています。作中において、バットマンの思い通りに物事が進んだ場面は、香港でのシーンを除いてほとんど無いと言って良いかもしれません。それほどに、バットマンはジョーカーの手のひらで踊らされ、その正義は切り刻まれます。

ヒーローものの華やかさのようなものは一切無く、終始ヒーローの「影」にスポットを当て、その苦悩と葛藤を深く深く描き切ったこの作品は、ヒーローものの映画としては異色と言えるでしょう。そのシリアスさが、この作品を名作たらしめる理由の一つだと思います。

「アメコミとかヒーローものとか苦手なんだよね・・」というそこのあなたさんよ。この映画はもはやヒーローものでも何でもないので、是非是非食わず嫌いせず、騙されたと思って見て欲しい。


2.「正義」とは?「善と悪」とは?見る者をも揺さぶる重厚なストーリー

この作品では何度も「選択」が迫られるシーンがあります。小賢しい(?)ジョーカーが、難しい二者択一をぽんぽんぶつけてくるからです。
その度に、主人公バットマンことブルース・ウェイン、そして登場人物たちの「正義」は形骸化し、無残に崩されていきます。このストーリーで描かれるのは、人間の脆さであり、誰しもが内に秘めた「悪」です。

街の平和を守るバットマンの存在がむしろ強大な悪を生み、「絶対に人を殺さない」という信念がむしろ仇となり、ついにはバットマンまでもが犯罪まがいの行為に手を伸ばしていく。「善」と「悪」が、まさしくコインの裏表の関係であることを、ジョーカーは頼んでもいないのにこれでもかというほど教えてくれます。まったくお節介な野郎です。

正解の無い問いに終始揺さぶられるストーリー展開は、ウェインやデントだけでなく、画面の前の私たちの心も激しく揺さぶります。『ダークナイト』が人々の心を惹きつけるのは、この映画がいわゆる「勧善懲悪」では決してなく、むしろその「善」と「悪」の境界が、限りなく曖昧に描かれているからではないかと思います。

あと、私は別に映画のプロでも評論家のプロでもないのであんまり偉そうなことは言えないのですが、ストーリー構成も完璧なんじゃないでしょうか。少なくとも、「このシーンいらんやろ」ってシーンを作中に見つけることは、私にはできませんでした。『ダークナイト』は、最初のシーンから心をぐっとつかみ、そのまま最後まで駆け抜けてくれます。

3.ノーラン監督の圧倒的演出力とリアリティ

これに関しては、正直「見てくれ!」としか言いようがないのですが、ノーラン監督はとにかく演出がすごいです。

私が一番度肝を抜かれたのは、ジョーカーが病院を爆破するシーン。

「フンフフ~ン」って鼻歌を歌ってるかのようなテンションで爆弾のスイッチを押すジョーカー。しかしうまく起動せず、まるでリビングで反応の悪いエアコンのスイッチをぽちぽちするかのように、起爆スイッチをぽちぽちぽちぽち。無事病院が木っ端微塵になると、爆発する病院を背に満足そうに去る。

鳥肌です、鳥肌。それも、このシーンが特段に秀でているとかではなく、冒頭から度肝を抜かれるシーンがたくさんあるので、最後まで飽きることなく映像の世界に引き込まれます。

さらにノーラン監督は徹底的にリアリティにもこだわりっています。見て欲しいのが、バットマンが劇中で使用する「バットモービル」。

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バットモービル

なんとこれ、本当に運転可能な車だそうです。なるべくCGに頼らず、リアルな映像にこだわった本作だからこそ、演出にも迫力とリアリティがあります。

加えて触れておきたいのが、本作の音楽を担当したハンス・ジマ―とジェームズ・ニュートン=ハワードの二人です。私わさんみつ、音楽の知識はあまりにも皆無なので語れることは少ないのですが、とりあえず「とても映画に合っていてすごいよ」ということだけは言わせてください(語彙力)。


4.映画史に残る最恐の悪役、ジョーカー

やっと本題にたどり着きました。ここまで来るのにもう3000字以上使っているので、別記事に分けようかと思いました。

ここまでさんざんこの映画を絶賛してきましたが、この映画で一番すごいのは、悪役ジョーカーです。というか、このジョーカーを魂をかけて演じきり、『ダークナイト』公開を待たずして28歳の若さでこの世を去った名優、故ヒース・レジャーです。

ていうかこの文章を書いてて気づいたんですが、ヒース・レジャーってこの時28歳だったんだ。すごすぎる。

というわけで、このジョーカーが、ヒース・レジャーが、いかにとんでもなく、いかに伝説であるのか、解説していきたいと思います。

<ヒース・レジャーについて>

ヒース・レジャー(Heath Andrew Ledger)は、1979年4月4日生まれ、オーストラリア出身の俳優です。

10代の頃はオーストラリアで役者としてのキャリアを積み、1999年『恋のから騒ぎ』でハリウッドデビューを果たします。

そんな若い頃のヒース・レジャーの写真がこちら。

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若い頃のヒース・レジャー

そう、ばりイケメンなんです。まじうらやま。
自分もこんなにイケメンだったら、子どもの頃からモテモテで、女の子と遊び放題、狭い部屋で寂しくTinderでたいして興味のない女の子にのりのりを装ってメッセージを送る必要もなかったのに。ほんと、神様って不平等ですよね。神様もきっとジョーカーばりに性格の悪い人で、「きゃーははは」とか言いながら思い付きで生まれてくる子どもの容姿を決定してるんじゃないでしょうか。



おっと、話がそれましたね。本題に戻ります。

その後彼は、『ブロークバック・マウンテン』(2005年、アン・リー監督)にてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、様々な映画に出演しては、決してルックスだけではない確かな演技力を発揮し、着実に評価を高めて行きました。

そして『ダークナイト』にて、悪役ジョーカーの役に抜擢されることとなったのです。

<衝撃の役作り>

もともとジョーカーというキャラクターは、1940年にアメリカンコミック『バッドマン』に初登場した、非常に歴史あるキャラクターです。映像作品としては、1989年の映画『バッドマン』にて、名優ジャック・ニコルソンが演じ、これまた高い評価を受ける名演を見せました。

『ダークナイト』が制作されている当時、ファンの間でジョーカーと言えばジャック・ニコルソンでした。加えてジャック・ニコルソンは、ハリウッド史に残る大名優。ヒース・レジャーもそれなりの評価はされていたとはいえ、ジャック・ニコルソンと比べればその知名度も立場も天と地の差であり、「あのイケメン君が本当にジョーカーになれるのか?」という周囲の懐疑的な視線もあいまって、プレッシャーは相当のものがあったと予想されます。

そんな視線を跳ね返すべく、そしてジョーカーを完璧に演じ抜くべく、ヒース・レジャーは徹底した役作りに挑みました。というのも、なんと一か月以上もの間ホテルにひとりきりで閉じこもり、笑い声から歩き方まで徹底して作り上げていったとのことです。また彼は『ジョーカー日記』と呼ばれる日記を綴っており、思考の隅に至るまで徹底してジョーカーというキャラクターを作り上げていたのです。

その凄まじい役作りの結果誕生したのが、この男です。





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おいおいおい・・・。


おいおい嘘だろ。さっきのイケメン君はどこ行っちゃったんだよ。神様がどうのこうのとか戯言言ってごめんよヒース。俺もホテルにこもってTinder頑張るわ。ホテルって別に変な意味じゃないからね。


冗談はともかくとして、すごすぎませんかこの変貌ぶり。単なる一枚の写真ではありますが、ヒース・レジャーがどれほどこの役を作りこんだのかが、伝わってくると思います。

<ジョーカーという男>

さて、ヒース・レジャーの凄まじい役作りによって誕生したジョーカーですが、ここからは映画内でのそのキャラクターについて掘り下げていこうと思います。

再三申し上げるように、ジョーカーはやべーやつです。奇妙なメイクに割けた口、甲高い笑い声とねちゃねちゃした喋り方、常軌を逸した行動と言動の数々は、我々の理解を遥かに超越しています。金や権力にも興味がなく、明確な目的や信念もなく、ただひたすらに人々を翻弄し内に秘める「悪」をむき出しにするのが楽しくてしょうがないって感じのジョーカーという男。平気で人をぱんぱん打ち殺すし、札束の山もノリノリで燃やしちゃうし、その上、あらゆる行動や計算が完璧で、かつ死ぬことも全く恐れていない。

まさしく無敵です。狂気です。やべーやつです。

そしてこの映画がすごいのは、このとんでもないやべーやつであるジョーカーが、終始主人公でありヒーローであるはずのバットマンを、戦いにおいても存在感においても圧倒的に上回り続けるということです。もはやジョーカーが主人公なんじゃないかってぐらいに。念のために言っておくと、作品内にはバットマンことブルース・ウェインをはじめ、魅力的なキャラクターがたくさんいます。ジョーカーのインパクトが強すぎるだけです。


クリストファー・ノーラン監督によれば、このジョーカーというキャラクターは多くの部分がヒース・レジャーのアイデアによって成り立っているそうです。ノーラン監督自身が、ヒース・レジャーが繰り出す演技が「ほとんど予想もつかなかった」と語っています。

「彼が衣裳やメイクで(役柄を)作り上げるのを見ていると、その創造プロセスに立ち会えることがすごく楽しかったですね。そして撮影現場では、手を叩いてみせたり、彼なりの声で演じたりしていて。あの声もまったく予想できなかったんですよ、奇妙な音程を作ってるんですよね。あれ以来、彼のモノマネをする人がたくさん出てきています。でも僕たちは、もしも彼がもっと高い声を出してたら、あるいはもっと低い声を出してたら、なんてことはわからない。誰も彼の企みについて知らなかった。それが彼の恐ろしいところなんですよ。」

出典 
ヒース・レジャー没後10年、『ダークナイト』ジョーカー役をクリストファー・ノーランが振り返る ― 「映画史にとって意義深い」 | THE RIVER

作中のジョーカーの様々な仕草がヒース・レジャーによるアドリブであると言われています。ヒース・レジャーの凄まじい演技は、観るもの全てを圧倒すること間違いなしでしょう。

<ヒース・レジャーの死>

2018年1月22日、ヒース・レジャーは『ダークナイト』の完成を待つことなく、マンハッタンの自宅のアパートで遺体で発見されました。享年28歳。死因は以前から服用していた睡眠薬の供用摂取による事故死でした。

なお、ジョーカーの役作りによって精神を消耗したことが彼の死につながったのではないかという噂がありますが、これに関してはご家族が否定されているとのことです。

ヒース・レジャーの死後完成、公開された『ダークナイト』は全世界から高い評価を受けました。ヒース・レジャーの演技もまた絶賛を受け、アカデミー賞助演男優賞の受賞をはじめ、数々の映画賞を総なめに。故人がアカデミー賞を受賞するのは史上2人目、28歳での助演男優賞の受賞は史上4番目の若さでした。授賞式には彼のご両親とご兄弟が参加し、本人に代わってスピーチを行いました。

ヒース・レジャーの正式な遺作は、『ダークナイト』ではなく『Dr.パルナサスの鏡』(2009年、テリー・ギリアム監督)です。彼はこの作品の撮影途中に命を落としましたが、未撮影分は代役によってまかなわれ、ヒース・レジャーの撮影部分はそのまま作品に使われています。しかしながら、彼が最初から最後まで演じきった生涯最後のキャラクターはジョーカーであり、多くの映画ファンにとって、実質的な遺作は『ダークナイト』として認識されているのではないでしょうか。

いずれにせよ、役者ヒース・レジャーは、あのジョーカーを演じた伝説の名優として、映画の歴史に、そして人々の記憶に、延々と生き続けることでしょう。




まとめ

いかがだったでしょうか。映画『ダークナイト』とその悪役ジョーカーについて、観たことある方は懐かしい気分に、まだ見てないよって方は興味を持って頂けたなら幸いです。


さてさて、冒頭にも触れた通り、このジョーカーがいかにして悪に染まったのか、その生い立ちが描かれる映画『ジョーカー』が、今年の秋にいよいよ公開されます。メガホンを取ったのは、トッド・フィリップス監督。そして注目のジョーカーを演じたのは、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した経験も持つ名優ホアキン・フェニックスです。

正直なところ、ヒース・レジャーのジョーカーが圧倒的なため、役者も監督も違う今作が、果たしてあのジョーカーを、はたまた新しい魅力的なキャラクターを作り上げることが出来ているのか、いささか不安ではあります。しかしながら、現在公開されている予告動画を見る限りにおいては、今回のジョーカーも、なかなかに興味深いキャラクターに仕上がっていると言えそうです。

www.youtube.com


2019年10月4日に日米同時公開される映画『ジョーカー』。話題の新作に乗り遅れないためにも、みなさんぜひ今のうちに『ダークナイト』をチェックしてみてはいかがでしょうか。


『ジョーカー』
制作国:アメリカ合衆国
公開日:2019年10月4日
上映時間:不明
配給:ワーナーブラザーズ映画
監督:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロなど


最後まで読んで頂きありがとうございます。
ちなみに、映画見るならU-NEXTらしいです。よく存じ上げないんですが、1か月無料で試せるらしいです。良かったら是非。